会誌-「サークル水月会誌 第9回」
|
|
■ §1.2 楽器特集 ◎弦楽器 1.琴(レ)←ただしこう呼ぶことはほとんどありません。 丸木状の胴に絹の弦を張り、爪または付け爪で弾きます。耳と呼ばれるものを左右にずらすことで音程を変えることができます。大きなものは床に置いて正座で、小さなものは箱状の共鳴胴の上に置いて椅子に腰かけます。大きさは30糎ほどの小さなものから、人の背ほどもある大きなものまでさまざまあり、弦の数も時代により流派によって6,8,10,12弦まであります。独立暦四〇〇年頃のセルフィアーで最も流行しているのは6弦または8弦の床に置く型のもので、粋琴<スーレ>と呼ばれています。帝国期終わり頃から独立暦一五〇年頃まで流行した琴に、十二弦琴<デューア・リューレ>というものがあり、これはあらゆる楽器の王といわれ、もっとも優美で重厚な音を出すといわれています。今では楽器そのものも、弾き手もほとんどいませんが、噂によると、ある流浪の楽士が現在でも弾きこなすことができるといいます。バルス邑宰ヴィーシア=アプシーズが最も好む楽器のひとつです。 2.弦楽<リュート> 丸い又はそれに準じる形の胴に長い首のついた弦楽器の総称です。2弦、3弦、4弦、6弦、8弦、それ以上のものがあり、首の音節(フレット)を左手で押さえながら右手で弦をかきならします。音を出す方法としては、指ではじくもの、爪ではじくもの、爪貨(ピック)ではじくもの、弓で弾くものなどがあります。大きさは片手でかかえられるものから人間よりも大きなものまでさまざまあります。 現実世界で身近にあるものでは、ギター、バイオリン、マンドリン、三味線などがこれに該当します。 ・奏楽<ディント>リュートのうち独立暦四〇〇年頃のセルフィアーの楽士に最も人気のあるもの。6弦、ギターほどの大きさで、背に革のバンドをかけて吊し、立ったまま弾くことができます。弦は牛か馬の筋あるいは銅製で、前者は爪か指ではじき、後者は爪貨ではじいて演奏します。 ・繰榴<ユーク>いわゆるウクレレ。奏楽の小型のもので、指で弾きます。軽く陽気な音がするので若者やツァンの人、夏の祭礼時などには人気がありますが、音楽をまじめに考えている人や老人には不評です。 ・二弦琴<フェンデュル>馬頭琴ともいいます。セルフィアーの楽器ではありません。レマリス西大陸中央部、かつてチェリア朝の帝都があった平原地帯でさかんに作られていますが、まれに遺跡で見つかることもあり、この音を好む人はセルフィアーでも皆無ではありません。名の通り二弦で、弓で演奏します。材料のほとんどを馬から作っています。 ・胡弓 高砂さんの寄稿参照 ・琵琶<グリーバ>大陸ではロウクァットといいます。果樹の枇杷にそっくりなことからこの名がつけられました。典型的な弦楽で、丸胴、4または6弦を弓か手で演奏します。サラスヴァティ神王の象徴でもあり、レマリス大陸中央河川地帯で人気があります。 ・ヴード レマリス東大陸東海岸地方で人気のある弦楽です。琵琶とは同祖で形もそっくりです。鳥の羽根で演奏します。 ・飛琶<フェイバ>琵琶の小型のもの。金属弦を張り、爪貨で演奏します。8弦ですが2本1組なので実際には四弦分の音程が出せます。要するにマンドリンですね。澄んだ美しい音がします。 ・ソルタリー 帝国期にはツィターと呼ばれ、十二弦琴とともに貴人の嗜みとされていました。十二弦の弦楽で、今ではレマリス東大陸北方イクシュヴァーク地方にのみ伝わっています。羚羊(かもしか)の筋から弦をつくり角の弓で奏します。 3.竪<ライアー> 竪琴とも書きます。他の弦楽器は弾く面を床に対して平行またはななめにして弾くことが多いのですが、ライアーは床に対して垂直に弦を張ります。木や角や金属で作った枠に弦を張り、左手は弦のとちゅうをつまんで音程を変え、主に右手の指で弦をはじきます。小さいものは手のひらほどのものから、大きなものは人の背よりも大きいものまであります。携帯が容易であり気の向くまますぐに弾けることから、楽士には全史を通して人気があります。 ・竪琴<ライアー>ふつうライアーと言った場合、片手・脇に抱え込める程度の大きさのものをいいます。弦の数は8弦以上20弦程度まで、材質は絹、牛の筋、または竜眸石からつくる糸などです。トゥー・ラスカのものは枠が青銅に黄銅を塗ったもの、弦の数は20、糸はスペシャル竜眸石製(笑)です。 ・三角琴<トライガン>大型のライアーです。ハープと呼ばれることもあります。枠の形が三角形に近いことからこう言い、人のあご程度〜人の背よりも高いほどの大きさがあります。専用の椅子に座って弾くことが多く、弦の数は30〜40、多いものでは100本以上のものもあります。ガンダルヴァ神の象徴として神殿に安置されているか、神像の手に持たされており、あまり実用する人はいませんが、大司祭位に即くためにはこれを弾けることが条件の一つになります。 ・向引<シーク>一弦琴ともいいます。竹や角や金属製の小型の彎弓によく似ており、実際弓として使えるものもあります。このため独立期には暗器としても使われました。弓に動物の筋製の弦が1本だけ張られており、左手で音程を変えながら右手で音を出します。ライアーを習い初めの頃に持たされる練習用の楽器というイメージがあり、またほとんど単音しか出せないために馬鹿にしている楽師も多いのですが、達人の手にかかるととても深い音が出せるというので好む人もいます。小さいものは箱状の共鳴胴の上に置いて演奏します。 4.打楽<ディント> たたいて音を出す楽器の総称です。 ・鐘<ディン>大陸では銅鑼といいます。金属で作られた大きな皿状または鈴状の塊で、布を巻いた木のばちで打ち鳴らすと、重厚な、腹に響くような音がします。刻の区切り目に鳴らす邑もあり、戦いの時には戦闘開始の合図に用います。 ・鉦<キーン>金属の皿状のもので、鐘よりもずっと軽く、金属の棒で打ち鳴らすかあるいは互いに打ち合います。甲高い、いわゆる金属音がします。戦いの時は「退け」の合図であり、緊急時の合図にも用います。 ・磬<グァト>コップ状の金属で、金属または木の棒で打ち鳴らします。鉦よりももっと甲高い音が出ます。 ・鈴<リィン>おなじみ、ディリーパ神王の象徴で慈愛を表します。口の細く開いた球状の金属に金属片が入れられ、振ると中の金属が外の金属にふれてやさしい音がします。指の先程のものから大きなものまであり、玉製のものもあります。音楽よりは服飾、儀礼用に用います。地方によってはつりがね状のもの、把手のついたものもあります。つりがね状で紙の短冊をゆわき、風が吹くと鳴るようにしたもの(風鈴)は紙発明以降のレマリス西大陸北方の風物詩となります。 ・鼓<ゴー>太鼓の大きなもの。筒状の胴に皮を張り、布を巻き付けたばちで打ち鳴らします。戦いの時には「進め」の合図になります。 ・雷鼓<ジュンゴー>太鼓のやや小さいもの。胴の両面に皮があり、ばちまたは手で打ち鳴らします。インダラの象徴であり、雷を呼ぶといわれます。 ・金叉<イルウォー>金属の棒で先が二股に分かれており、堅いものに打ちつけて共鳴胴に立てると一定の音を発します。聴覚系の術の訓練に用いるものですが、他の材料でつくって部屋の装飾に組み込むこともあります。 ・鉄琴<グロッケン>鉄製の様々な長さの札を並べ、ばちで音を出すもの。帝国期のもので、金属の純度を調べるための道具でしたが、バルスでは楽器として扱われていました。 ・木琴<ムオレ>鉄琴を模してつくられたもので木製。チューニングの必要が無く手入れが簡単であるため好む楽師もいます。 ・風琴<ルーレ>五王国期後半になって登場する楽器。木琴をヒントに、ふいごで風をおくり特定の鍵盤を叩いたときに対応する音が出るようにしたもの。鍵盤楽器はそれ以降に登場します。 5.笛(ビア) 息をふきこむことで音が出る楽器の総称。 ・横笛<ティービア>管状の竹や木、金属や玉に6つまたは8つの穴がある横笛。金属・玉のものは暗器としても使われます。・葦笛<リード>葦のくきで作った笛。たて笛と横笛があります。セルフィアーでは葦原がないのであまりさかんではありません。何本も束にしてつなげた連笛もあります。 ・角笛<ダーボア>動物、主に牛の角で作ったたて笛。先が広くなっているので太い、独特な音が出ます。音程を出すことよりも音そのものを楽しむ楽器です。 ・石笛<ディバ>・陶笛<ブービア>・金笛<イルビア> 不定形の堅い塊にいくつかの穴をあけ、音程をつけられるようにしたもの。楽師よりも芸人の楽器です。金笛+葦笛(連笛)はのち吹琴(ハーモニカ)に発展します。
【高砂キカ】 |
| ■ 前のページに戻る |