会誌-「サークル水月会誌 第8回」

今回の登場人物

 ○クラウ・ハデン(ナーラダ/男/15)
  ウォウル出身の修行中の道士。未だ実力はそこそこだが素質は天才的。

 ○ライル・ナタケ(ナーラダ/女/14)
  スウィズ・ライル社社長の令嬢。清楚で可憐な美少女。ハデンに想いを寄
  せるが、空回り気味。因に、父親仕込みの宝器術法の腕はかなりのモノ。
  また、酒グセは相当悪い。

 ○クラウ・ユリト(ナーラダ/女/12)
  ハデンの同腹の妹。落ち着きが無い。

 ○ライクン・ソアラ(トゥー/女/15)
  ハデンの異腹の妹。とても大人しい。

 ○ライル・ガズカ(ナーラダ/男/34)
  ライル社社長。知勇兼備で野心に富むナイスミドル。だが親馬鹿。
  因みに、モデルは『南国少年パプワくん』のマジ○ク総帥らしい。

 ○サイク・ルヴァログ(ナーラダ/男/32)
  ライル社外局長。ガズカの竹馬の友。人柄がとてもよい。

 ○ライル・カミナ(ナーラダ/女/19)
  ライル社治局長として内政を担当。大酒飲み。まだカイルとは出会ってい
  ない。……この時はまだ19歳だったのか……カミナ姉さんも若かったん
  だなぁ……。

 ○ハウザー・カッシュ(ナルス/男/21)
  ライル社商局長。いつもどこかで暗躍している男。如才無く失敗しない奴。

 ○ノーツライン・クラド(ナーラダ/男/28)
  ライル社兵局長。『闘将』として名高いが……。

 ○ゼオ・マキス(ナーラダ/男/20)
  ライル社警備兵。この時まだザコ。ただし技量はかなりのモノ。

 ○ヴァイクス・ナクラ(ナーラダ/男/26)
  〜unkown〜

■ 覇伝 独立暦400年以前 『全てのはじまり』  【作者:元宵】
〜独立暦397年〜


「……それは、我々を全くの暗闇に突き落とした。誰もが早期の破滅を予想した。しかし、幾人かの者はナタケ様にガズカとは別の可能性を見出していた。最もそれに気付いていたのはクラウ・ハデン殿ではなかったかと自分は思うのである……」

―サイク・ルヴァログ回顧録より―   


  壱:クラウ・ハデンさん(15)のとある日常

「にーちゃーん、彼女から手紙きてるよーっ!」
「だからナタケはそんなんじゃないと、いつも言っているだろーがッッ!!」
 はしゃぎ声と怒声がウォウルの街に響き渡る。
 手紙を持って走り回っているのはクラウ・ユリト、十二歳。ハデンの同腹の妹である。見た目は可愛いが、中身はとんでもなく可愛げのない(注:ハデン主観)ガキで、今も兄であるハデンをおちょくっている。
 そんなユリトを追い掛けている、クラウ・ハデン。この時十五歳。後にライル社社長、ライル・ナタケの懐刀として悪名を轟かせるこの男も、この時はまだちょっと性格の悪い少年でしかなかった。
「いいかげんにしないとお前のアイス食べるぞっ!」
 ……レベルの低い脅しをかけている。ユリトの動きが止まる。
「……う〜〜……」
「さっさとそれをよこせ。オレはまだ読んでないのだから」
 アイスと交換条件で引き渡されたナタケからの手紙。
「……先にユリトに読まれてしまうとは迂闊だった。まさか、ホントーにユリトが喜びそうなことが書いてあるんじゃなかろーな……」
 ドキドキしながら読む。程無くして彼は安堵の表情を浮かべた。
 ナタケからの手紙、それは『ライル社』改称記念式典の招待状であった。

 スウィズ・ライル社は、はじめ創師商会という名称だった。創立は独立暦395年、ライル・ガズカとサイク・ルヴァログの手による。最初、ライル家は中邑だった旧スウィズ邑最大の武器商人だった。しかし若かりし日のガズカは伝統を重視し体制が硬直化していたライル家に反発し、家を飛び出しウォウルへ向かう。そこで彼を追ってやってきた親友ルヴァログやひょんな縁で意気投合したファン・フェイロンらと組み、一儲けしてウォウルに財を築いた。ナタケが産まれたのもこのころのことである。尤も、ガズカは仕事一筋で滅多に家庭に帰らなかったが。後に、スウィズの父親が亡くなった時ガズカはスウィズに戻り武器商人ライル家を大改造してから創師商会を立ち上げた。因みに、彼がウォウルを引っ越す時彼は妻と離婚している。原因は彼が家庭を顧みなかったことと、浮気にある。ガズカは、この時の事が意外にこたえたらしい。ナタケを引き取りよき父親となったのだ。そして、その二年後、飛躍的に大きくなった創師商会はライル社と改称した。また、ガズカは第壱邑宰位継承者のルヴァログからスウィズの統治権を譲られている。ガズカを大事を成す男と認めているのだ。ただし、これについてはスウィズ邑旧臣の中に反対する者がおり、不穏さを残している。
「ライル社か……へえ……ナタケの父親も大したものだな」
 ハデンは素直に感心していた。ガズカは才幹と野心に富む男であり、ハデンとしても大いに惹かれるものがある。
「断る理由もないし、行ってみようかな」
「お兄様、私たちも行きますのよ」
 ハデンの顔を覗き込むようにしてトゥー族の少女が言った。
 ライクン・ソアラ、ハデンより一(つき)遅く産まれた妾腹の妹。妾腹とは言っても、名目上そうなっているだけであり、ハデンの父親であるクラウ・デュアスは複数いたらしい妻達に序列をつけなかった。分け隔て無く接すると書けば聞こえはいいが、要は単なる浮気者である。
「私とユリトにもナタケさんから招待状が届いてましたわ」
「オレだけじゃなかったのか。伯父貴の法事も済んだことだし皆で行こうかな」  ソアラは嬉しそうな顔をして頷いた。彼女は、トゥーの地で母親と二人暮らしをしている。故にハデンやユリトと会う機会が滅多に無く、妹というより従妹のような感じであった。普段会ってないだけに三人でどこかへ出掛けるというのがとても嬉しいのだろう。
 因に、ソアラが何故ここにいるのかという理由、それはハデンとユリトの育ての親であるクラウ・ラヴェランの一周忌の為であった。ハデンとユリトの両親はユリトが産まれて間も無く亡くなり、彼等は伯父の元で育った。この伯父は、かつてウォウルの外吏長であったらしいがあまりに一本気な性格故周囲と対立し辞めている。ハデンの父デュアスも腕利きの謀であったがクールすぎる性格から味方が少なかった。ハデンを含め、クラウ家にはマトモな人間が少ない。
「でもお兄様、そういえば法事が済んだら気功術法の修行に戻られるのではなくって?」
 ハデンは十二の時から、ユリトを近隣の親戚に預け師について気功術法を学んでいる。(つき)に数日は実家への帰省を許されていたが、今回はラヴェランの一周忌の法事に限っての帰省ということになっている。
「気にするな。別にいいだろう」
 ハデンはこの問題をルーズな一言で片付けた。
「しかし、ソアラ、お前は体の方は大丈夫なのか?」
 ソアラは体があまり丈夫ではない。スウィズへの道中を心配した。
「ご心配なく。トゥーの地からここに来るまで大丈夫だったんですもの」
 彼女はそうやって微笑んでみせた。


  弐:娘の彼氏

「ああ……早く49日にならないかなぁ……」
 スウィズ・ライル社本館のバルコニーから北西の方角を望む少女がいた。
「あの方角の向こうにハデンさんがいるんだ……早く会いたい……」
 ……この少女、名はライル・ナタケ。ライル社の社長ライル・ガズカの令嬢で歳は十四になる。394年までウォウルで育った彼女はハデンに早くから好意を抱いていたらしい。彼女が物心ついた時、ガズカのライル家は既に大富豪となっていた。ナタケは令嬢として(かしず)かれ何不自由なく育っていたがそれが却って親しい友人を作りにくくしていた。それに、ウォウル・ライル家はあくまで成り上がり者としか見られていなかったことも影響していた。そんな時、クラウ・ハデンが彼女の前に出現する。彼は一応上流階級出身だったから令嬢ナタケに隔意を抱くこともなかった、と言うよりこの男にそういった階級意識がそもそも無かったというのがまずナタケの心を引き付けた。従者といったのを使おうとせず、食べる物も普通である。立ち振る舞いはお上品ぶったことはなく、さりとて粗野でもない。運動はどうしようもなく苦手だったが読書好きで史書、兵法書などを好み頭もよかった。やや内向的な性格だが心優しい(少年期は)。よく見れば、この程度の男はそれ程珍しい存在でもないのだがナタケにとって彼女の知る「男の子」は彼ぐらいなものであり、比較対象がまず存在しなかった。それに、二人の家が近かったというのも良かったのだろう、ハデンはライル家をよく訪れるようになり、二人で居る時間が増えた。……こう書くと、ナタケが深窓の令嬢であったような印象を受けるかもしれない。しかし実際の彼女は邸宅の中で大人しくしているより、外に出ている時の方が多かったと伝えられている。ただ、周りが大事にし過ぎたのだ。因に、ハデンと親しくなってからは彼女の方から彼を引き摺り回す事が多くなったらしい。
 実は引っ越す前に勇気を出してハデンをダーラの丘に呼び出し告白しようとしたことがある。しかしこの時は、あまりに言い方が遠回しだったのとハデンが恐ろしく鈍かったのもあって不発に終わった。尤も、この時ハデンには別に好きな人がいたからはっきり言ったら言ったで玉砕していただろう。
 引っ越してからのナタケは、実は諦めてはいなかった。創師商会会長令嬢なのをいいことに、金に糸目をつけず探偵を雇い間諜を放ち、ハデンの好み、性癖、その他なんでもかんでも調べ上げ対策を立てていたのだ。清楚で可憐な外見からは想像もつかないこの汚さ。後の謀略家ハデン顔負けである。しかし、余計なお世話だが、この努力が実効をあげていたかどうかは疑わしい。
「ナタケ、何を物思いにふけっているんだい?」
 後ろから声がした。振り向くとナイスミドルな男がいる。
「お父様。……人を、待っています。ここに来るのは数日後ですけど」
「……人。友達かね」
「……」
 ナタケは僅かに頬を赤らめた。断っておくが、ハデンにとってはナタケはまだ友達でしかない。
「それじゃ、お父様、(わたくし)は部屋に戻ってますので……」
 ペコリと頭を下げてナタケは去った。後には親父が残った。
(友達でない……すると…………まさか――――!?)
 激しく揺れ動く親父心……。


  参:スウィズにて

 そして来たる水の月49日。
「やあ、久しぶり」
 ハデン達三人兄妹はスウィズに到着した。
「お久し振りですハデンさん、会いたかった……」
「今回は招待してくれて有難う。ついでにソアラとユリトも連れてきたぞ」
「ついでは余計よ、にーちゃん。あ、ナタケさん、お久し振り〜っ♪」
「ナタケさん、お久し振りですわ。兄がお世話になっております」
「ユリトさん、ソアラさん、ようこそいらっしゃいました」
 多少の程度の差はあるが、三人兄妹は全員ナタケに面識がある。
「立ち話もなんですから、私の部屋に案内しますよ」
 彼等はナタケに連れられてライル本社に向かった。
(ふむ……)
 途中、ハデンはナタケと話す傍ら、辺りを見回していた。
(少々剣呑な雰囲気がするな……)
 武装した兵が多く巡回している。式典には要人が多く参加するから当然といえば当然なのだが、それにしても目に付いた。余程テロが起きる可能性が高いのだろうか……。
「ハデンさん、どうかしましたか?」
 何時の間にか厳しい表情をしていたハデンにナタケが声を掛けた。
「にーちゃん、何ボーッとしてんのよ。ははぁ、さてはナタケさんが余りにも綺麗だから緊張してんだろ?」
「まあ、ユリトさんたら……」
「……勝手にやっとれ……」
 ハデンは呆れた表情でため息をついた。
「あ、着きましたよ」
 スウィズの中心に建つ本社。三人とも見るのは初めてである。とは言っても水の月のはじめに竣工したのだから当たり前ではあるが。
「ほう」
 ハデンは感嘆した風な顔をした。瀟洒だが華美な装飾は一切無く機能性に重点を置いてある。いや、本社だけではない。街中も統制された都市計画の元、合理的に建設されているように見受けられるのだ。
(ライル・ガズカ……乱世の申し子と言うべきか)
 その時。
「やあ、君達が我輩の娘の友達かい?」
 ナイスミドルなおじさまが声を掛けてきた。ライル社社長、ライル・ガズカ。
「あ、お父様」
 ナタケがハデンの腕を引っ張り、ガズカの前に連れてきた。
「紹介します、この方がいつも言ってるクラウ・ハデンさんです。私の……」
「友達です。初めまして」
 ナタケがいらんことを言う前にハデンは先手を取った。ナタケの眉が僅かに歪む。後ろでソアラとユリトが必死に笑いを堪えている。
(ハデン……こいつが……)
 ガズカはあまり好意的でない視線をハデンに送った。
(顔は……まあ合格だな。群を抜く美少年ではないが、秀麗と言ってよいだろう。しかし男は顔ではない!)
「あの……何か?」
「君、こっちへきたまえ」
 ガズカがハデンの腕を掴む。
「え?」
「ちょっと、お父様、そんな怖い顔してどうしたの!?」
「これから男と男の話をだな……」
「それなら後にして!これからハデンさん達にイロイロ案内するんだから!」
「それならパパが……」
 隣でハデンがまたため息をついている。全くオレはここへ何しに来たんだ……。
「社長、兵局長が呼んでいますよ」
 また何者かが現れた。見るとそれは黒服に身を包んだ短髪のナルスの青年だった。
「ああ、カッシュ君か。わかった、今行く」
 残念そうな顔をしてガズカは立ち去った。去り際に、ハデンを目で威嚇するのを忘れなかったが。
「……もしかして、君がクラウ・ハデン君かい?」
 親しげに話し掛けてくるナルス。ハデンは頷いた。
「そうか、君が……おっと申し遅れて済まない、私はハウザー・カッシュという者だ。よろしく」
「よろしく、カッシュさん」
「カッシュでいいよ。そのほうが気が楽だしね」
「ときに、どうしてオレの名を?」
「お嬢様がいつも君の事を嬉々として語っていたからね。おっと、私は用事があったんだ。失礼するよ」
 去り際に、彼はハデンに耳打ちした。
「邪魔者は居なくなったんだ、巧くやるんだよ」
(……何を……)
 ハデンとしては、ナタケがいつも嬉々として語っているという言葉が気になった。一体何を語っているというのか。
 兎も角、彼等は本社の中を案内された。ナタケは事細かく説明してくれた。また、注意深く観察すると、各所に宝器が設置されている。防衛用の物らしい。ハデンは術に関する知識もかなりあるからある程度想像はついた。
「あらぁ〜、ナタケちゃんじゃない。連れているのはお友達?」
 やたら明るい声がした。若い女性が近付いてくる。
「んん?男のコ?」
「この人がクラウ・ハデンさんです」
「ああ、ナタケちゃんの彼氏ね。話は聞いてるわよ」
「違う!」
 強く否定するハデン。
「おお〜、ムキになるところがますますアヤシイ♪」
(おいナタケ、君は一体何を話していたんだ!?)
「あ、ハデンさん、この人はライル・カミナ。私の従姉です」
「よろしくね、ナタケちゃんのカワイイ彼氏サン♪」
(もうイヤだ……)

 その後外局長サイク・ルヴァログに会い、一通り本社を案内し終えると、何時の間にか日が暮れていた。
「もうこんな時間か……じゃ、ナタケ、また明日。ええと、オレ達の宿はどこだ?」
「ここ」
「……え?」
「本社の中に外からのお客さんを泊める部屋があるんです。つまり、貴方と私は同じ屋根の下で寝泊りするんですよっ」
「そんなことはこのパパが許さぁぁぁぁぁんッッ!!」
 何の前振りもなく親父出現。しかし。
「お父様は引っ込んでて!!」
 娘は一撃で親父を撃退した。
「じゃ、ハデンさん、夜遅くなるまで私の部屋に……。いろいろ、話したいこともありますから……」
「いや、疲れたからオレは……」
「行きますわよ、お兄様」
「にーちゃん、折角ナタケさんが誘ってんだからぁ」
 妹二人が両側からがっちりとハデンの腕を掴んだ。
「お、お前等、放せっ!」
 そのまま彼はずるずるとナタケの部屋に引き摺り込まれた……。


  肆:ハデンの悪夢

(ここが、ナタケの部屋……)
 ハデンは落ち着かないといった風に部屋の中を見回した。
「どうしました?何か珍しい物でもありましたか?」
「いや、女の子の部屋だなぁって……」
「そうですか?」
 笑いながらナタケは席を勧めた。三人が並んで長椅子に腰掛ける。
「式典まで日にちがありますから、明日はスウィズ邑内を案内しましょう」
「そうだな、頼む」
 その時。
 コンコン。
「みんなそこに居る?」
 扉の向こうから声がした。ナタケが開けるとカミナがビンを沢山抱えている。
「カミナさん、何ですかそれ?」
「ジュースよ。みんなで飲もうと思ってね」
「わあい、ジュースだジュースぅ!」
「ユリト、静かにしなさい」
 妹を窘めるソアラ。カミナはクスリと笑った。
「あはは、五人で飲もうよ。ね、ナタケちゃん」
「そうですね」
 斯くして彼等は「ジュース」を飲むことになった。この時ハデンは「なんかアヤシイな」と思っていたが、それは正しかったのだ……。

「きゃははははは!!きゃ〜〜!!!」
「あははははは!!ナタケちゃんたらイケるわねぇ〜!!」
「………………うぇっ……………………」
 ナタケとカミナは「ジュース」を飲んで完全にできあがっていた。ハデンは顔色が悪い。
「おいカミナ、これのどこがジュースなんだ!ナタケを見ろ、よっぱらっていいるじゃないか!……うおっぷ」
「あらぁ〜、ハデンクン、年上の女を呼び捨てにするとはいい度胸してるわねぇ」
「う、うるはぁ〜い!ハレン、らまっておまえものめ〜い!!」
「そうよナタケちゃん、ハデンクンにもっと飲ませるのよ!!」
「オ、オレはもういい」
 彼は酒に弱い。
「なによ〜う、男の子でしょ〜お?」
「お〜と〜こ〜の〜こ〜!!きゃはははは
「ナタケ、そんなに飲んでいいのか!?オレ達まだ子供だろうが!」
「らいじょーぶ、らいじょーぶ、これはオレンジジュースらよ」
「こんなアヤシイジュースがどこにあるってんだ!……やば、吐きそう……」
「ジューヒュじゅーひゅ、きゃはははは!!」
「ソ、ソアラ、何か言ってくれ……」
「……お菓子……おいしい……お茶も……」
「ソ、ソアラが壊れてる!?ユ、ユリトぉっ!!」
「むにゃむにゃ……もう食べられない……」
「寝るな──ッッ!!」
「そうらそうら、はれん、こっち来て飲めぇ〜!!」
「もうムチャクチャだ……あおっぷ、マジでヤバい……」
「ハレェ〜ン、おれの酒がのめんのかぁ〜〜あ!」
「な、何をする、ナタケ、やめろ!」
「ナタケちゃん、いっけぇ〜え!」
「や、やめてお願い!ボスケテ!い、いやっ、放して、うわあああああっっ…………」
 ハデンの喉から食道に灼熱が走り抜けた。薄れゆく意識の中で彼は思った。
(……おやすみなさい……)


  伍:揺れる男心

「う、う〜ん……」
 朝日が部屋のなかに差し込む。目を覚ましたハデンは半身を起こした。
「何時の間にか眠っていたのか……あ〜気分悪ぃ……」
 寝呆け眼をこすりながら、何気なく隣を見遣った。人が寝ている。
「なんだ……ナタケか………………………ん、ナタケェッ!?」
 慌てて飛び起きる。
「んん……」
 間も無くナタケも眠りから覚めた。
「あ、ハデンさん、おはよーございます……」
「なっ、何で君がオレと一緒に寝てたんだっ!?」
「貴方、途中で寝ちゃいましたからね。とりあえず、ユリトさんはソアラさんとカミナさんに運んでもらって、貴方だけ私の隣で寝かせてあげたんです」
「ナタケ、まさかオレにヘンなことしなかっただろうな……」
「……フツー逆の可能性を心配しません? まあ、確かにヘンな気は起こしかけましたけど」
(そうなのか──────ッッ!?)
 ハデンの背中に冷汗が流れた。
「アタ、ハタタタタ……おかしいですね、頭がガンガンする……」
「当たり前だろう、あれだけ飲んだんだから」
「飲んだってジュースなのに……アタ、ハタタタ……」
「……おい、もしかして覚えてないのか?」
「はい?ちゃんと覚えてますよ。みんなでジュースのんでたら、貴方が急に眠りだして」
(何か違う!何か違うぞそれはっっ!!)
 しかしそれは口から出ることはなかった。言っても無駄だと鋭敏に悟ったのだ。
「あは、あは、あはははは……」
 不健康な笑い。ナタケは首を傾げたが、やがて布団の中に潜り込んでこう言った。
「アタタタタ……ハデンさん、頭が痛いのでもう暫く寝ます……」
「大丈夫か?なんなら看病してやってもいいぞ」
「ありがとうございます……でも、妹さん達を放ったらかしにしてはいけませんよ……」
 そうだな、とハデンは頷いた。
「じゃあ、行ってくる。後で来るから大人しく寝てろよ」
 扉を開けて部屋の外へ出る。その時、何者かに軽く肩をポンと叩かれた。
 直感的にまずいと感じた。何せ、社長令嬢の部屋から朝帰りである。疑われない方がおかしい。
 恐る恐る振り返ると、そこには……。
「やっほーっ、おっはよー」
 能天気なカミナだった。
「イイとこ見ちゃったなぁ。朝っぱらからナタケちゃんの部屋から出てくるなんてっ
「……あのなあ……昨日酔い潰したのは何処の誰だ!ナタケが二日酔いになってるぞ!」
「え?何の事?昨日飲んだのってジュースでしょ?えへへ
(なにが「えへへ」だっ!)
 見る見るハデンの機嫌が悪くなっていく。
「あ、そーだ、これからオネーサンがスウィズを案内してあげよっか?」
「遠慮する。これから妹達の様子を見にいきたいのでな。何せ、ナタケがアレだ。どうなっていることやら……」
「そう、じゃあしょうがないわね。……フフ、妹思いなのね。でも、ナタケちゃんも大事にしなきゃだめよ」
(うるさい)
 敢えて口には出さず、ハデンはカミナと別れた。

「調子はどうだ?」
 ハデンはソアラ達の所へ行った。どうやらソアラは起きているようだがユリトは寝ている。
「あ、お兄様」
 ソアラは軽く頭を下げた。
「昨日はそれ程飲んだわけではありませんから、別にどうともありませんわ」
「そうか。お前らしい」
 ハデンはもう一人の妹の方を見遣った。
「ユリトはまだ寝ているようだな」
「ええ。……あの、お兄様」
「ん?」
「お兄様は、ナタケさんの事どう思ってらっしゃるの?」
「どうって……友人だが……」
「本当に、それだけですの?」
 ハデンは返答に窮した。単なる友達にしては……。
「お兄様、はっきりしない態度を取り続けるのは双方にとっていいこととは言えませんわ」
「……」
「お兄様」
「わからないんだ」
 ハデンの発した言葉は普段とは声のトーンが違っていた。
「単なる友人ではないのかもしれない。ナタケの存在はいつの間にか大きくなっている。だが……」
 その後に、どのような言葉が続くか、当人にもわからなかった。感情を己の中でどう整理するか、全く答えを見つけられないでいた。

 その日の晩、また彼はナタケの部屋を訪れた。
「あ、気分はどうだ……?」
 妙に意識してしまう。
「もう大丈夫です」
 ナタケはにっこりと微笑んだ。
(確かに、かわいいが……)
 幼い頃はそれ程意識していたわけでもない。だが、彼女が引っ越してから暫らく会わないうちに、しとやかな美少女になったと彼の目には映っていた。
「どうかしました?」
「あ、いや」
「そうですか」
 それから、彼等は暫らく雑談に花を咲かせていた。スウィズの話、ナタケの父親の話、ハデンの妹の話、ウォウルに居た頃の話……。
 その内、ナタケはふと、立ち上がると机の引き出しの中から青い小石を取り出した。
「これが何か、わかります?」
 ハデンは暫らく考えていたが、やがてポンと手を叩いた。
「もしかして、オレが九つの時にやったものか?」
 幼い時、二人してウォウル郊外セルファニア湖へ遊びに行って、そこでハデンが見つけてナタケにあげた物。
「よかった、覚えててくれたんですね」
 ナタケは嬉しそうな顔をした。
「確かあの後帰るのが遅くなって二人とも親に怒られたんだよな」
「あの頃は楽しかったですね……」
 その言い方が妙に引っ掛かる。
「……ナタケ?」
「えっ?私、何かヘンなこと言いました?」
「いや、そうじゃないが……もしかして何か悩み事でもあるのかなと思ってな」
「……………………」
 ナタケは暫らく俯いたまま何も言わなかった。やがて、やや躊躇った後。
「……ライル社のこと、貴方はどう思われますか?」
 ハデンは意図を測りかねた。
「どうって……何故そんな質問をする?」
「私……あまり好きじゃないんです」
 意外な言葉だった。
「何故だ?ライル社を作った君の父親は知勇兼備の男で……」
「……でも、人を沢山殺しています。お父様を恨んでいる人は沢山居るんです……」
 ハデンは言葉を失った。
「わかるんです。私にはとても優しいけど……そう、離婚して以来私にはとても優しい。何でも言うことを聞いてくれて、何でも買ってくれて……でも、私が欲しいのは……」
「ナタケ……」
 ハデンはナタケにかける言葉が無い。唐突にナタケが見せた本心、どう受け止めればいいのか……。
「あ、ごめんなさいね、こんな事言って……」
「いや、オレでよければ何でも聞く」
「優しいですね……」
(オレはそうでもない……)
 会話が途切れた。ナタケは何か話題を見つけようとした。
「そういえば、貴方は気功術法を学んでいるそうですね」
「まあね。まだ基礎だけだけど」
「何かやってみせて下さい」
「しょうがないな……」
 ハデンは左手を掲げた。精神を統一、すぐに掌から炎が発現した。
「うわぁ……すごいすごい、どうやったんですか?」
 ナタケは子供のようにはしゃいでいる。
「まあ、『火の気』を操って火を起こしたんだ。気を通すものであれば理論上は何でも操れる。オレは初歩、しかも火しかできないが。師はもっとすごい。地水火風等を操る」
「へぇ……ねぇ、他に何かないんですか?」
「そうだな……」
 その後は取り立てて何かあることもなく夜は更けていった。ただ、何気なくナタケが口にした一言が妙な予感と共に何故か頭の隅に残った。
「いざという時は、それで私を護ってくださいね」
 二日後は、ライル社改称記念式典の日。

 翌日、ハデン達三兄妹はスウィズ邑内を見て回ったり、ライル社製の宝器を見たりして過ごした。
(やはり剣呑な雰囲気がする)
 空気が、妙なのだ。ハデン自身の経験では、それは、初めて実戦を経験した時、己と敵との間の虚空が張り詰めた殺気に埋め尽くされている感覚に似ていた。僅かな衝撃で、一気に爆発する一歩手前の瞬間。
(まさか、な)
 軽く頭を振った。
 警備体制は万全、クラドとかいう兵局長は有能だと聞いている。心配は無い筈だ。
 ……だが、昨日のナタケの言葉が不可解な不安を掻き立てていた……。


  陸:独立暦397年水の月52日

 そして当日。
「さて、行くか」
「どう」
 一応正装に着替えた(勿論貸衣装)ハデン達三兄妹は会場に向かった。だが。
「じゃ、オレはその辺を散歩してくる」
「にいちゃん……逃げる気だね」
「さて?」
 堅苦しい式典の挨拶など聞きたくないらしい(この男、一体何をしに来たのだろうか)。彼は「会食の頃には戻る」と言い残し、会場から抜け出した。
「ふう……ここ数日色々あったからな……一人で少し休むか……」
 本館裏庭でくつろいでいる。ふと、何気なく視線を泳がせると、見知ったシルエットが視界に入った。
(あれは……?)
 すぐさま焦点を合わせる。よく見ると、それはナタケだった。石段に腰を下ろしている。
「ナタケ、そこで何をやってるんだ?」
 不意を衝かれたのかナタケは一瞬ギクリとした。しかし声の主がハデンだと知るとほっとした表情を浮かべた。
「あ、ハデンさんでしたか……」
「何をやってるんだ。会場の方に行かなくていいのか?」
 ナタケは答える代わりに視線を落とした。
「……行きたくないとか?」
「そうですね……」
 軽く溜め息をついた。
「どうも、慣れないんです。社長令嬢でいることに」
「慣れない?」
「ええ。こういう格式高いのはちょっと……」
 ハデンは心底意外に思った。スウィズに越してからのナタケはほぼ完全に礼儀作法が身に付き、ごく自然な立ち振る舞いの中に優美な、時として神秘的でさえある雰囲気を内包しているように見えていたからである。そのナタケの口から、そういった資質を必要とする場に慣れないという言葉が聞かれるとは。
「そうか。オレもあまり馴染まないよ」
 少しおどけて言った。ナタケは笑った。無意識のうちに、彼が時偶(ときたま)見せる優しさが嬉しいのだ。
「暫らくここにいようか」
「そうですね。……あ、そうだ」
「何か?」
「貴方に渡す物があったんです」
 ナタケは、そう言うと彼女が腰を下ろしていた辺りに置いてある白い布を持ってきた。
「これは……」
 バサッと広げる。それは、真っ白な上衣であった。
「貴方がスウィズに居るまでに渡しておこうと思いまして。昨日は深夜まで頑張ってたんですよ」
「オレの為に……あはは、有難う!」
 取り敢えず羽織ってみる。
「これは、耐術霊布製だね」
「一応私も創師ですから。最上の物を使ってありますよ」
 決して上手に出来ているとは言い難い。しかし、嬉しくない筈がなかった。
「何かお礼をしなきゃね」
「あ、いいですよ、そんなの。……私は、お気持ちだけで充分です」
 はにかむように笑う。無垢な瞳にハデンの鼓動がちょっとだけ早くなった。
 穏やかな日差しの下で、二人は微笑んだ。ハデンは思った。こういう時間も悪くはないと……。
「あ、そろそろ私は行かないと。お父様が探しているかもしれません」
 ナタケが踵を返そうとしたとき、警備兵が話し掛けてきた。
「お嬢様、社長が探してますよ」
「あ、はい、今参ります」
「社長は今、社長室に下がっておいでです」
「わかりました。……ハデンさん、また後で」
「ああ」

 そのころ、社長室では。
「ふう……やれやれ、社交上、必要なこととはいえ、格式を遵守するのも疲れるな……」
「全くだ」
 ライル・ガズカとサイク・ルヴァログが一息入れていた。
「ところでガズ君、お嬢さんの姿が見えなかったようだが。まさかあの少年と駆け落ちしたとか……」
 がたん!!
「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!! ルヴァ、それは本当かぁぁぁっっ!?」
「……冗談に決まっとろう……三十四にもなって何だその落ち着きの無さは」
「黙れ三十二歳。娘が可愛いのは当たり前だ。愛情を注ぐのは当たり前ではないか?」
(……君は注ぎ過ぎだガズ君……)
「ところでルヴァ、君はあの少年をどう思う?」
「クラウ・ハデンという者のことか。……君が心配するような悪い虫ではないと思うがの」
「……イヤ、真面目な話だ。我輩は、彼の目に常人にはない光のようなモノを感じた」
「ホゥ」
「できれば我輩の手元で育ててみたい」
「ホウ!ライル社社長の目に適ったのか」
「我輩には野望がある。それは我輩一代で成し遂げなければならない。……娘は我輩の志を継いではくれぬだろうからな。野望を早期に実現するためには、有為な人材は多い方がよい」
「成程。しかし、お嬢さんが君の志を継がないというのは?」
「ルヴァ、君はもう気付いているはずだ。娘は我輩とは性格も考え方も全く違う。……無理もあるまい。我輩は娘の人格形成期に殆ど家に居なかったのだから。影響が無くて当然かもな……」
「……」
「ナタケは優しい。離婚した時、家庭人として失格だった我輩を気遣って付いてきてくれたのだから……。その時は、君にも迷惑を掛けたな」
「いや、気にする必要はあるまい」
「……我輩の周りにはよい人間が多いな。おっと、もうすぐ娘が来る頃だろう。実はさっきの事について、事前に娘とも話し合う必要があると思ってな」
「ならばあの少年も呼べばよいだろうに。一緒に居るはずだから」
「いや、こ、心の準備が……何を言ってしまうかわからぬ」
「小心者!ははは、さて、ワシは席を外させてもらうよ。親子水入らずでどうぞ」
「ルヴァも家族同然だろう。ま、配慮には感謝するよ。それとルヴァ」
「何か?」
「もし我輩に何かあった時は、娘をよろしく頼む」
「縁起でもないなぁ」
「確かに。我輩はまだまだ死なぬよ。我輩は、己の野望と娘の為ならなぁんだってするさ」
 二人は笑顔を交わして別れた。
 ……そしてこれが、唐突に訪れる今生の別れであった……。


  漆:血の宴

 再び会場から。会食真っ最中である。
「あ、ルヴァログさん。ドコ行ってたんですか?」
 明るく笑いながらカミナがルヴァログを見つけて呼び掛けた。
「ちょっとガズ君の所へな。それより、そこのお二方は確か……クラウ・ハデン君の妹さんでしたかな」
「はい。先日はどうも」
 ソアラが礼儀正しく言った。
「で、ハデン君は?」
「……ちょっとその辺を散歩するとか言って……もうそろそろ戻ってくる筈なんですけど……私、探してきますわ」
「あたしも行くー!」
「多分中庭に居ると思うぞ。さっきまでナタケお嬢さんと一緒に居たはずだ」
「やっぱり……」
 ソアラとユリトが去った後、カミナは面白そうに笑った。
「何だかんだ言って、ハデンクンはナタケちゃんとくっついているのよねぇ」
「そーゆー表現はやめんか、カミナ」

 本館の裏にて。
「……社長が会場を離れました。今社長室に居ます。あそこは警備の兵も手薄です」
「そうか。よし、やるぞ。……ナクラ、ラルシ、お前達を頼りにしている」
「有り難き幸せ」
「お任せ下さい」

「あ、にーちゃんだー」
 程無くして二人はハデンの姿を認めた。
「お兄様、いつまで『散歩』をするおつもりなの?」
「お前達か……そろそろ戻ろうかと思っていたところだ」
 苦笑しながらハデンは会場に戻ろうとした。その時。
(――――――!?)
 爆音と振動を全身に感じ、ハデンの動きが一瞬凝固した。続いて怒声、悲鳴、剣戟を打ち合う音が至る所から聞こえてくる。
「な、何!?」
 ソアラとユリトは動揺している。ハデンは知覚と頭脳を総動員して事態を推量した。
(……まさか……!)
 ここ数日感じていた悪いイメージ、その正体がこれか。
(ナタケが危ない!!)
 戦闘の音は静まらない。小規模なテロではないとしたら、狙いは社長か。すると当然、一緒に居るはずのナタケも……。
「ぎゃあああっっ!」
 間近で断末魔の叫びが響いた。
「ヒッ……」
 ドサリと血にまみれた屍体が転がる。妹二人がハデンにしがみついた。
「君達、ここで何をやっているんだ! ここは危険だ、早く会場へ戻れ!」
 黒いロングコートに身を纏い、槍を持った警備兵が言った。
「会場……会場は安全なのか!?」
「ん?ああ……賊共は警備の厚い会場を避け、社長室を狙っているらしい。今、兵局長殿が手勢を連れて救出に向かっている」
「会場ならば安全なのか……よし、貴方にこの二人は任せた!無事に会場まで連れていってくれ!」
 ハデンは妹達を託すと、白い上衣を身に纏い、駆け出した。
「任せるって……オイちょと待て!」
 慌てて呼び止めようとしたその時、物陰から突然二人の賊が襲いかかった。
「邪魔だザコ共っ!!」
 槍がうなる。瞬く間に突き伏せる。
「このゼオ・マキスを舐めるなぁッッ!!」

「何事だ!?」
 会場は騒然としていた。直接ここに殴り込んでくる賊は居ないものの、周囲の状況から危機感と不安を感じるのは当然である。
「ルヴァログさん」
 カミナが切羽詰まった表情を向ける。
「……ガズ君……」
 彼自身は必死で混乱を抑えようとしている。この場に居るライル社の人間で最も地位が高く、そして社会的信用が高いのは彼であるのだ。ルヴァログには混乱を抑える義務があった。
(ガズ君……逃げてくれ。一生に一度でいい。敢えて君の信条を曲げて、ここは逃げろ!)
 彼はライル・ガズカのプライドが高いことを誰よりもよく知っている。今まで、決して逃げる事無く、己の才幹を頼りにただ前進のみを繰り返し成り上がったのだ。

 ハデンは一直線に社長室を目指している。だが、思うようには進めなかった。一つは、この時の彼は闘い慣れてはおらず、術の腕もまだ後年には及ばぬ程度であったこと。もう一つは、社長室に至るルートを余りよく知らなかったということである。賊が少ないであろうルートを選ぼうと思っても、わからないのだ。それに……。
(妙だな、手際がよすぎる。それに数も多い)
 物陰に隠れ、気弾を撃ちながらハデンは思った。
(内通者が手引きしたか、或いは外部勢力の仕業ではなく内部の者の……?)

 賊がその行動を起こしたその時、ナタケはまだ社長室に向かう途中だった。
「何!?」
 彼女はすぐに理解した。彼女の父親が狙われているであろうことを。
「お父様!!」
 ナタケに、自分一人が逃げて助かろうという思考はない。善くも悪くもライル・ナタケという人物を表す行動といえよう。
 真っすぐに社長室に向かう。数人の賊が立ち塞がった。ナタケは素早く20糎程の棒のようなものを取り出す。
「疾!」
 その棒のようなものが伸びてしなり鞭になった。敵を打ち据えた瞬間に雷撃を加え行動不能にする。
「こ、このガキッッ!!」
 束になってかかってくる。しかし、正面から仕掛けたのがいけなかった。
 ナタケが『七精鞭』の柄をくるりと返し、後部の竜眸石を前に向ける。すると。
「風迅!」
 暴風が巻き起こり、賊達をしたたかに壁に叩きつけた。
「お父様!」
 再び駆け出した。そこの階段を昇り突き当たりの角を左に曲がれば社長室だが……。

「クラドよ、お前もか」
 渦中に在って、ガズカはひとり静かな気分だった。
 社長室の彼は、幾人かの駆ける足音が近付いてくるのを落ち着いて聞いてくる。
「我が天命、ここで尽きるか?」
 唇が自嘲の形に軽く歪んだ。やがて、武装した賊が彼の部屋に押し入った。
(少年、娘を頼む)
 剣を手に、立ち上がる。
「新しきスウィズの独裁者、貴様に天誅を下す!」
「フッ、旧体制にしがみつく古びた者達よ」
「何ィッッ!!」
「クラドに伝えよ。一時の勝利に酔うこと勿れ、とな」
 生きていれば、よりライル社を積極的、攻撃的に使ったであろう乱世の申し子は、間も無くその可能性と命を永遠に失うのであった。

「破ッッ!!」
 ハデンの苦戦は続いている。社長室の下の階まで辿り着けたのだが、そこで十人程の賊と交戦状態になっていた。
(オレがもっと強ければ……いや、今は余計なことを考えるな!)
「おりゃあああっっ!!」
 五、六人の兵を連れて兵局長のクラドが駆け付けた。忽ち斬り合いになる。
「正規兵か……遅い!」
 思わずハデンはそう言ってしまった。クラドが顔をしかめる。
「うるさいぞボーズ!念の為に賊共を掃討していたら時間がかかってしまったのだ!」
(掃討だと……?)
 彼の視線はクラドの顔に固定された。
(バカな、そんなことをやっている場合ではないだろう!)
 しかし余計な時間を食っている場合ではない。目前の敵とクラド達とが戦っている間隙を縫って強引に突破。
 奇妙なもので、この時ハデンもクラドも双方に対し、何ら肯定的な印象を持たなかった。後に、命のやりとりをする二人である。
 ハデンは、後を振り返らずに走った。一気に階段を駆け昇ろうとする。その時。
「放てぇ───ッッ!!」
 迂闊だった。階上で待ち構えていた賊の一斉攻撃をモロに浴びたのだ。矢玉、気弾、火球が雨霰(あめあられ)と降り注ぐ。
「ぐはっっ……!」
 慌てて気硬盾を展開するも、間に合わず何発か命中。急いで壁に隠れる。
「うっ……げほっ、げほっ…………成程、ナタケの創師としての腕は確からしい!火球や気弾は一発も通ってないが……」
 右肩に突き刺さった矢を引き抜いた。
「……痛いぞ、これは!!」
 今度は彼は慎重且つ高度な攻撃を行った。目を閉じ壁から左手だけを出して、正確に気弾で撃ち抜いていく。意表を衝かれた賊は次々と倒れていった。


  捌:死線

 扉の向こうから無機的な金属音、そして鈍い音が聞こえた。
「……お父様!」
 ナタケの頭に悪いイメージが浮かぶ。彼女は激しく頭を振り、それを打ち消そうとした。目前の半開きの扉の向こうに、答えはある。彼女は、やや躊躇した後、開けた。
 彼女の瞳に映ったものは――――。
「………………………………………うそ………………………………………」
 血の海の中に横たわる、首の無い父親の姿……。
「………………」
 ナタケは人形のような表情でその場に座り込んだ。唇が僅かに動いているようだが、聞き取れない。
「何だぁ、このガキは?」
「確か社長の娘……」
 十人程の賊達がナタケを見て言った。だが彼女の耳、そして目には彼等の存在は知覚されていない。少女はただ父親だけを見ていた。時が止まったかのように……。
「こいつが娘か。残念だったなぁ、悪逆非道の父ちゃんは死んじまったぜ」
 汚い笑みを浮かべながら一人がガズカの死体を足で軽く小突いた。
 その瞬間。
「触るなあああああああああああああああッッッ!!!!」
 ナタケの鞭がうなりをあげる。ガズカを蹴った男の首を刎ね飛ばした。そのまま彼女ははじけたように父親の所へ一気に駆け抜ける。
「こっ、このガキ!」
 一斉に構える。ナタケは両目に激しい憎悪の炎を燃やして睨み返す。
「許さない…………殺す…………みんな殺す!!!」
 再び鞭を一閃させる。賊は盾で防ごうとしたが、盾もろとも顔面を二等分された。
「ちっ!!」
 散開して取り囲む。こうなると、ナタケに勝ち目はない。いくら強力な武器を持っていても彼女に戦闘経験はないのだ。
「うあああああああああっっ!!」
 目前の敵のみを攻撃する。しかし、後ろに回り込まれている。蛮刀が不吉な輝きを放つ。そして、それが光の弧を描いた。
「あっ……………」
 冷たい感覚と衝撃が背中を走った。次の瞬間平衡感覚が無くなり天と地が逆さまになる。自分が床に倒れたのだと理解したのはその次だった。そして斬られたことを認識する。すると痛みの感覚が沸き上がってきた。全身から力が抜けていく。
(…………死ぬの…………?)
 死を意識した。もがこうとしても、体が言うことを聞かない。次に来る、(とど)めの一撃を予期した。それは、彼女にとって確信と言ってもよかった。
 しかし、そうはならなかった。
(…………?…………)
 彼女は生き続けている。(とど)めは来ない。不思議に思う彼女の鼓膜を、聞き慣れた声が叩いた。
 
―――ナタケエエエエエエエッッッ!!!!
 勢い良く扉を蹴破って乱入した少年。
(……ハデ…ン…さん……?)
 彼女の意識はそこで途切れた。
「どけぇ────ッッ!!」
 ハデンは乱入した勢いそのままでナタケに駆け寄った。両手からメチャメチャに気弾を乱射。ナタケの所に到達し、彼女の体を抱き寄せる。
(息はある……生きてる)
 彼はナタケを抱いたまま後ろに下がり壁を背にした。既に、肩で息をしている。
 今、目前には十数名の敵が居る。そして尚、続々と他の賊も集まってきていた。階下のクラド達はまだ来る気配が無い。
(……どうする……救援が来るまで持ち堪えられるのか?)
 しかし後先考えずに飛び込んだのが災いしたとは思わなかった。あと数瞬遅れていればナタケまでもが殺されていたのだ。
(まだ術を行使する余力はある。しかし、一対多数用の術はまだ修得していない。………力が欲しい…………)
 この時、脳裏にある手段が浮かんだ。
(……やはりそれしか無いか。いや、オレは初めからそれすらも辞さぬつもりでここに飛び込んできたのだったな……)
 ゆっくりと左手を前に突き出した。
「殺させはしない……」
 ナタケを抱く腕に力が入る。
 師の警告が頭をかすめた。しかし、敢えてそれを無視した。
(すみません師匠。今使わせてもらいます)
 彼が、初歩中の初歩として気弾を修得した時、同時に習った術。
 最も基本的であり、そして最も強い力を出せる術。
 制御が困難なため気功術法に熟練するまで絶対に使うなと言われたが……。
 狙点を前方に定める。初め、左腕全体が光に包まれていたが、やがてそれは掌に収束された。気を大量に取り込み、それを一気に解放する。ただそれだけの術である。普通でないのは、気の流れが爆発的に激しいことである。
(出力は……出来る限り60%に抑える!)
 ハデンの掌が閃光を放った。そして。
 
――――――真波動!!――――――
 部屋全体が真っ白に漂白され、ハデンとナタケ以外の全てを薙ぎ払った。


  玖:全てのはじまり

「…………ん、ん……」
 ゆっくりと目を開ける。白い天井が見える。彼は自分の置かれた状況を理解するのに若干の時間を要した。
「ここは……オレは、そうか。あの術を使って……」
 ハデンはベッドから半身を起こした。その時。
「……痛ッ…………ぐあぁ……あ…………!!」
 左腕の中で凄まじい痛みが暴れ回る。堪えようとして(うずくま)るが、どうにもならない。しかし彼の口の端には僅かな笑みがあった。
「オレの左腕はちゃんとついている……力の調節には失敗したがオレについては最悪の事態は避けられたようだな……」
(そういえば、ナタケは?)
 痛みを堪えながら起き上がろうとした時、ドアを開けて二人の少女が入ってきた。
「お兄様、起きていましたか」
「にーちゃん、もうダイジョーブなの?」
「ああ……なんともない」
 嘘である。額に脂汗が浮かんでいるため、すぐバレた。
「お兄様……どこか痛むのですか!?その汗、尋常ではありませんわ!」
「心配無い。……ちょっと無理をしただけだ。じきに治る。それより、ナタケはどうなった!?」
 身を乗り出して尋ねた。ソアラはあまりいい表情をしなかった。
「一応何ともありませんわ……そう、怪我……背中の怪我の方は……ですけど……」
「…………行ってくる。今どこに居る?」
「でも、お兄様の体の方は?」
「オレは、いい」
 ハデンはソアラからナタケが居る部屋の場所を聞くと、真っすぐにそこへ向かった。ソアラは、ハデンの背中に少々複雑な視線を送っていた。
「……お姉ちゃん?」
「ユリト、考えすぎよ」
 ハデンとナタケの仲を気遣う割に、彼女も複雑な事情を抱えていた。

 コンコン。
「ナタケ、入るぞ」
 返事はない。ハデンはややためらった後に扉をあけて入った。
「ナタケ……」
 彫像のように身動き一つせず、窓の外に顔を向けている少女の姿があった。呼ばれたことに気が付いてないのか、反応が無い。
「ナタケ?」
 ナタケはゆっくりとこちらを向く。表情は無い。
 ハデンは呼んだだけで次の言葉が出なかった。こういう時、父親を殺されたばかりの彼女にかける言葉を、彼は知らない。言葉で人の心を癒すには、彼は若く不器用だった。
「ハデン……さん……」
 やっと聞き取れるほどの小さな声。ハデンは静かにナタケに近寄り、隣に座った。
「お父さん……死んだの……」
 ハデンの視線はナタケの横顔に固定された。喋り方が普段と違う。
「わたしね…………ライル社はあまり好きじゃなかった…………でも、でも………………お父さんのことは大好きだったの…………」
「…………」
「お父さんを殺した人が言ってた……お父さんは悪逆非道の悪い人だって…………でも、わたしにとっては優しい父親だった……!」
 彼女の手がハデンの服の裾を掴む。
「ねぇ…………どうして…………どうしてなの!?どうしてお父さんは殺されなければならなかったの!?ライル社の社長だから!?じゃあライル社ってなんなのよ!!どうして出来たの!?必要な存在なの!?この世に存在しちゃいけないの!?答えてよ!!!」
 彼女の全身から迸る、激しい感情の奔流。いつしかハデンの両腕を掴み、彼の胸の中で泣いていた。ハデンの左腕に形容し難い激痛が走ったが、彼は顔色一つ変えなかった。
「わたし……憎い……お父さんを殺した人達が……ライル社を産んだこの乱世が……!!なくなればいい……ライル社なんて、なくなればいいのよ!!」
「おい、ナタケ!」
 ハデンがナタケの両肩を掴み、たしなめた。
「………………ごめんなさい。こんなこと言われても貴方は困るよね」
「いや……」
「でもね、わたし、怖いの……あの時、お父さんが殺されたのを見て、わたしは怒りのあまり前後の見境がつかなくなっていた……まるで……憎悪という黒い感情に浸食されたみたいに……」
「…………」
 沈黙が流れる。ナタケは高ぶる感情を抑え、ハデンは何も言うことができなかった。
 ややあって、ナタケはハデンから手を離した。
 そして、少し視線を逸らし……。
「……一つだけ、頼んでいいですか?」
「オレに出来ることならば、なんでも」
「……目を閉じて……」
「何……」
 言葉では疑問を表したものの、行動では言われた通りにした。不思議と、彼の思考に拒絶の選択肢は存在しなかった。そうしなければならないではなく、そうするのがいいと思っていた。
 彼は、待った。数秒後、予想した感覚が唇にあった。しかしそれは、彼の予想とは異なっていた。初めてであるのだから……。
 しかし、次の瞬間に彼は現実に引き戻された。
「貴方のことは忘れません……」
(――何!?)
 その思考はすぐに言語化された。
「どういうことだ」
「これ以上貴方を付き合わせるわけにはいかないのです」
 この時初めてハデンはナタケの口調が普段に戻っていることに気が付いた。そして、彼女の決意を……。
「これから私の進む途は苛酷で困難な途……ライル社を、自らの手で無くすための……」
「おい、ナタケ!」
「ライル社は、乱世の申し子というより鬼子のようなものだと私は思います。放っておいても誰かに潰されるでしょう。そしてそれは、多くの血と悲しみを伴うはず……その前に、平和裏に宝器大量生産を行うライル社を無くしてしまえば……。そして、それが出来るのは私しかいません。……やっぱり私は、乱世が憎いのです……乱世の終結を……」
「それで、ドコをどう押せば『貴方のことは忘れません』などという言葉が出てくるというのだ?」
「ですから、これ以上危険な事に貴方を付き合わせるわけには……」
「で、自分一人で何もかも背負う気か。乱世を舐めるな。たかだか十四の小娘一人でどうこうできる程甘くはないぞ。……目の前に力になる男が居るというのに、何故そいつを頼らない? オレはそんなに頼りがいがないのか?」
「……それ、十五の少年が言う科白じゃないですよ?」
「茶化すな!」
 二人同時に弾けたように笑った。その明るい笑いにより、確かに何かが吹き飛んだ。
「だが、今はまだ力が足りん。一年待て。一年で君の腹心となる……!」
「本当に、いいんですね?」
「ああ」
「有難う……」
「お、おい、泣くなよ」
「はい…………」
 ハデンは、静かに、ナタケの首と腰に手を回した。背中でないのは傷のこと があるからである。
「やっと…………想いが通じたんだ…………」
「ん?何か言ったか?」
「いいえ」
 そのまま、暫らく時が過ぎていった……。
(オレは多分、ナタケのことが好きなのだろうな…………)
 二人は誓った。共に、戦い続けることを。ずっと、一緒に……。
(ハデンさん……有難う……私は、貴方が一緒に居てくれる限り前に進むことができます。この命が尽きるまで……)
 この命が、燃え尽きるまで……………………。

 部屋を出たハデンを待っていたのは異腹の妹だった。
「ソアラ……」
「ごめんなさい、お兄様。聞くつもりはなかったのですけど……」
「いや、いい。それより、ソアラ」
「はい」
「母殿の所へ帰る時にはユリトも連れていってくれ」
 母殿、というのはソアラの実母のことであってハデンにとっては義理の母になる。
「えっ……」
「オレは家に帰らなくなる。ならばユリトはお前と一緒に暮らした方がいい。……それに、トゥーの地ならば戦乱に巻き込まれることもあるまい」
「お兄様の仰せならば、私はその通りにしますわ。……ですが、一つだけ、答えてください」
「何だ」
「お兄様は……やはりナタケさんを好いていらっしゃるの?」
「……そうだな。ああ」
 ソアラは静かに首肯いた。
「わかりました。ユリトは私が連れて帰ります。ですけど、お兄様の口から直接ユリトに伝えて下さい」
「わかっている。……すまない」
 この時彼はソアラの感情に気付いていたか。ソアラに、父親はいなかった。勿論それは精神的な意味である。彼女の男親であるデュアスは専らウォウルに住み、そしてソアラとその母親は殆どをトゥー・エリアで過ごした。ソアラが初めてハデンに会ったのは九つの時。勿論父親は死んでおり、まして顔など知らない。また、ハデンはソアラとユリトを分け隔てることがなかった。それは、今でも同じである。彼女は、この優しい兄に記憶の断片すら存在し得ない父親の姿を求めようとしたのかもしれない。

 翌日、ライル・ナタケはライル社の社長に就任し、いきなり戦装束で全軍を叱咤した。その場で、「警備で重大な失態を犯した」兵局長ノーツライン・クラドを叱責した。叱責とは言っても、表面上は静かだった。行動は少々過激だったが。
 兵達がざわめく。ナタケが抜剣し跪くクラドの首に刃で軽く触れたのだ。
「同類の失態、今後は許しませんよ」
 口調こそ穏やかだが、クラドにはモロにナタケの想像を絶する深淵を見ていた。全身から冷汗が流れて止まらない。
(バカな、この俺様が、こんな小娘一人の顔すら直視できないだと!?)
 ナタケは剣を納めた。侵しがたい雰囲気を漂わせる。相変わらずクラドは動けないでいた。
 彼女は、事件の黒幕に気付いていた。

(ふむ、ナタケもなかなかやるな)
 ハデンは離れた所でその様を眺めていた。
(ルヴァログサンが率先してナタケに臣下の礼をとったことにより、混乱はある程度収まった。しかし、これからが大変だぞ。今回の事件の背後に居る敵、それは内なる敵。どう排除するか……)
 彼はまず、己の左腕を治さねばならない。そして力を養い……。
 「先は長いな」
 クラウ・ハデンとライル・ナタケ。二人の戦いはこの時始まった。それがハデンにとって、全ての原点であったのかもしれない。

―続く―   



 後書き:…………ははは、すげー分量。正直、疲れた。一月上旬に仕上げるつもりがずるずるとテスト期間に突入し、終わったと思ったら素晴らしいタイミングで寝込んでる。でも、何より疲れたのは、やっぱ、ハデンとナタケのアレかな。なんであんなモノ書いたんだろう……今読み返しても砂吐きそうだ。今回は遊び過ぎました。次は、もっと分量抑えるつもりですんで。でわ。

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