会誌-「サークル水月会誌 第3回」

神王アシュラ様ご推薦!
■ ザル岩石日記シリーズ

【作者:但馬 晴/協力:ほなサイババ 】

 「おい、そこでのんびり茶をすすっている神人や妖人ども!
  お前らにこんな旅はできねえだろ! やれるもんならやってみな!」
                           表紙の言葉より。
 疾風迅雷、荒唐無稽、奇想天外旅日記!
 ナタ司祭エイラの気まぐれによって、セルフィアー島全てを旅しなくてはならなくなったアーリアとモーリア! ふたりの運命やいかに!
 彼らの行方に待ち受けるのは、神か悪魔かサンコンか!?
 ザル岩石日記はPART1からPART3まで、各10粒で絶賛好評発売中!!
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         ナルス・アヴィーナ邑所属 ナルス文化センターまで。

                      代表 シメタニ=キョウヤ

ザラス外伝 ザル岩石日記 PART3
■ 悲劇は繰り返される(かも?)

【作者:但馬 晴/協力:ほなサイババ 】

 「ふう、暑いですね」
 ばたばたと手で扇ぎながら、エルリークが言った。
 「もうすぐバーミヤに着くはずなんだが・・」
 アーリアはとめどなく噴き出す汗を拭った。
 「このままくたばる、なんてことないよなぁ」
 モーリアは立ち止まった。だが疲労は溜るいっぽうだ。
 アーリアとモーリア、そしてカルナで仲間となったエルリークは、キーサ王国にほど近いバウ砂漠にいた。
 草木もなく、砂と岩だけで形成された大地がはてしなく続いている。かつてはナルスの手により築かれた街道が存在したというが、その大半は砂に埋もれていて、その痕跡がわずかに残るばかり。
 それが唯一の道しるべだ。
 「あ、見えました」
 エルリークが指さす。その先に、陽炎に揺れる邑の姿が見えた。
 「あれがバーミヤか!」
 アーリアが歓声を上げた。
 バーミヤはここ数年のうちに大きくなった邑だ。以前は砂漠にいくつも点在するオアシスのひとつに過ぎなかった。
 それが、チェリア朝時代の遺跡が発見されると全土から創師がどっと押し寄せ、かなりの盛況を誇るようになった。
 「なんでもバーミヤの遺跡は、ひとりの創師によって築かれたと聞きます」
 ゆっくりと歩きながら、エルリークは話し始めた。
 700年もの昔、ひとりの創師がチェリア朝の統治に反旗をひるがえした。
 その創師は宝器術法により、己の意のままに動く石人形を生み出した。その石人形を”宝魔獣”と名付け、戦わせた・・。
 戦いは創師の有利に進んだ。
 だが、ひとつの誤算が生じた。
 戦い続けるうちに、宝魔獣の内部に邪悪な意志が芽生え、創師の意に反して勝手に暴れ始めたのだ。
 そこで創師はこの砂漠の地に迷宮を築き上げ、宝魔獣を封印した・・。
 「それなら知ってる」
 モーリアが口を挟んだ。
 「それで、全土から創師が集まってくるんだろう? ま、そのほとんどがライル社の連中だろうけど」
 ライル社とは、スウィズに本社を構える大企業だ。もともとは武器開発会社だったが、創師の大量雇用による施術宝器の量産体制を築き、ひとつの邑を支配するまでになった。
 彼らにとって、宝魔獣は魅力的な商品だろう。疲れも知らず、不平不満も言わない。まさに理想の兵士だ。
 伝説では長い年月がたつと、人のように意志を持つらしいが・・。
 「ライル社ねえ・・」
 アーリアは渋い表情になる。
 それというのも、ライル社には少なからず因縁があったからだ。
 ナルスで山賊をやっていたとき、一ヶ月以上もろくな稼ぎが獲られないために、やむなくライル社の商隊を襲った。
 勝てる奴だけを襲う。山賊の鉄則を破って。
 結果は失敗。見事に返り討ちにあい、捕まった。そしてアヴィーナ邑兵に引き渡された。
 あのとき捕まらなければ、こんな旅にでなくてもよかったのだ。
 忘れ去りたい、苦い記憶だ。
 そうこうしているうちに、一行はバーミヤへとたどり着いた。

 「ちょ、ちょっと、離れて下さいよぉ」
 エルリークが泣きそうな声を上げた。バーミヤへ着いたとたん、宿の客引きに捕まったのだ。
 「こんなに照れちゃって、かわいい!」
 とびきり美少女の客引きが、エルリークにしなだれかかる。
 「や、やめ・・」
 顔を真っ赤に染め、もがいた。
 「泊まるところ、決まってないんでしょ? だったらうちにきてよ!」
 ずるずると、エルリークはひとつの宿へと引っ張っていかれた。
 「た、助けて下さいよぉ」
 むなしく悲鳴だけが残った・・。
 「・・おい、連れていかれたぞ」
 「だいじょうぶだろ。何もとって食おうってわけじゃないし」
 ふたりは寄って来る客引きをうまくあしらいながら、邑の奥へと進んだ。
 そこへ。
 建物の影から飛び出してきたひとりの少女が、アーリアにぶつかってきた。
 「うわっ!」「きゃっ!」
 声を上げ、アーリアと少女は尻もちをつく。
 「ごめん!」
 素早く少女は立ち上がり、ひとこと謝るとすぐさま彼方へと走っていった。
 文句を言う隙さえ与えなかった。
 「な、なんなんだ・・?」
 モーリアは呆然と呟いた。
 そこへ。
 「もう逃げられんぞ!!」
 紫に染めた揃いの剣と鎧で武装した、数人の兵士の集団が現れた。
 「げっ、ライル社の傭兵!!」
 アーリアが悲鳴を上げた。
 忘れるはずがない。紫の剣と鎧。
 そして、剣と盾の紋章。
 間違いない。
 「さあ、我々から奪った宝魔腕を返してもらおうか!
  この盗人ども!」
 隊長らしき人物が、進み出た。
 「ぬ、盗人だと!?
  おい貴様、おれたちは盗みなんてしてねえ!
  変な言いがかりつけると、承知しねえぞ!」
 モーリアが言い放った。
 「まだとぼけるのか・・。
  では、その男の持っているものはなんだっ!」
 アーリアへ剣を突きつける。
 「え・・?」
 確かに、アーリアは持っていた。ねずみ色で腕の形をしているものを・・。
 「こ、これは・・」
 「そうだ、それが宝魔腕だ。わかったか。
  わかったなら、返してもらおうか」
 「お、おれはこんなもん知らねえ!
  だいたいおれたちは少し前、この邑へ来たばかりだ。
 こんな・・」
 言ってから、アーリアはさきほどぶつかってきた少女のことを思いだした。
 (あのやろうか・・!)
 いまさら気が付いても遅い。
 動かぬ証拠は自分が持っているのだ・・。
 ならば・・。
 「逃げるぞ!」
 勝てない奴とは戦うな。
 それが、山賊の鉄則だ。

 一刻後。
 「見つかったか?」
 「いえ、まだ・・」
 「この邑からは出ていないはずだ、探せっ!」
 怒号と剣の鳴る音、そして足音がだんだんと小さくなっていく。
 アーリアとモーリアは、ホッと息をついた。
 「まったく、なんでこんなことに・・」
 ぴったりと壁に体を張り付けたまま、モーリアが言った。
 「くそう、あの女!
  会ったらただじゃ・・」
 「どう済まないの?」
 少女の声が被ってきた。
 「き、貴様、いつの間にっ!」
 「なに言ってるの。さっきからずっと、ここで待ってたのよ」
 姿を見せたのは、白銀の髪に青紫の瞳・・。かなりの美少女だ。
 「貴様のおかげで、おれたちはあらぬ疑いをかけられたんだぞ!
  いったいどういうつもりなんだっ!」
 「まあまあ、あんたたちを腕のたつ盗賊だと思って、それを預けたんだ」
 アーリアの怒りをさらりと受け流し、あっというまに持っていたものを抜き
取った。
 「これは宝魔腕といって、偉大な創師ティアレ=ソコルルが造った義手さ。
  こっちの言い値で買うって人がいてね、どうしても手に入れたかったんだ。
  で、バーミヤの遺跡に行ったはいいけど、ライル社の手に入っていて・・。
  そこで・・」
 「盗んだ、ってわけか・・」
 「ま、ひとことで言うとそうなるかな。
  じゃあ、これ。あんたたちの取り分」
 そういうと、少女はひとつの皮袋をアーリアに手渡した。
 手にすると、ずっしりと重い。
 「417粒入ってる。確かめてくれてもいいよ」
 言われるまでもなく、アーリアは中身を確かめた。
 確かに、ねずみ色をした塊が何百と入っていた。
 「もしも足りないと思ったなら、尋ねてきてよ。
  トラップマスター協会“フェンリル”にその人ありといわれた、シーナ・
  アガノを!」
 「聞いたことないなあ・・」
 「いまはね。
  でも近いうちに、その名を聞かない日がなくなるわ!」
 そう言い残すと、アガノと名乗った少女は姿を消した…。
 「なんだったんだ、ほんと・・」
 モーリアが呟いた。

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