会誌-「サークル水月会誌 第2回」

無謀企画!!  ザラス外伝 ザル岩石日記 PART1
■ 激動(?)の旅立ち  (その理由はどこに?)

【作者:但馬 晴/案:ほなサイババ】

「腹減ったなあ」「そうだなぁ」
「金があればなぁ…」「そうだなぁ」
 口を開けばこんな会話しか成立しない。もう丸三日、まともな物を食べていない。口にできたものといえば、えたいの知れぬ雑草と水だけ。
「なんでこんなことになったんだろうなぁ…」
 容赦なく照りつける太陽をうらめしそうにながめながら、アーリアが言った。
「…あのまま刑死してりゃよかった…。苦しまず、あっさり死ねたのに…」
 モーリアが言ってのける。
 ナルスでその名をとどろかせた山賊コンビにしては、情けない言葉だった…。
 生まれは平凡な農家。幼いころから親孝行ものとして育ってきた。そのままいけば、どこにでもいる農夫として一生を終えるはずだった…。が…。
 彼らを狂わせたのは酒とギャンブル。たった1度だったはずの遊びにのめり込み、そのままずるずると堕落していった。田畑を失い、家を手放しても返せない借金。追いつめられたふたりの取った手段、それは他人の物を奪うことだった。
 それはとても簡単なことだった。元手は何もいらない。己の身ひとつでできる。麦やイモを育てるより楽な仕事だ。
 山賊になったふたりは、以前にも増して遊びまくった。金の心配などない。なくなれば、また奪ってくればいい。
 だが、そんな生活は長く続くはずがない。アヴィーナ邑兵に捕まり、そして死刑判決を受けた。
 本来ならば、アーリアとモーリアは斬首され刑死するはずだった。それを救ったのは誰あろうナタ大司祭、エイラ。いや、救ったというより死よりもつらい使命を負わされたのだ。
 ウォウル邑宰の王号を称したことにより、セルフィアーは激動の時を迎えた。その時流を見定めるため、セルフィアー島を全て旅するよう命じたのだ。
「生きて帰ってきたら、今までの罪は全て赦免してあげる。高司祭としての地位も用意するわ」
 ふたりはその甘言にまんまと乗せられたのだ。どうせ死ぬのなら、と半ばヤケクソで。それを今、後悔していた…。

                          つづく…かも?

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